数演算子とハミルトニアンの固有エネルギーの導出

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消滅演算子\(\hat{a}\)と生成演算子\(\hat{a}^†\)、個数演算子\(\hat{N}\)は、次のように定義される。

$$\hat{a}=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}+\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$$$\hat{a}^†=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}-\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$

$$\hat{N}=\hat{a}^†\hat{a}$$

この記事では、調和振動子のハミルトニアンを数演算子\(\hat{N}\)を使って表し、さらにそのハミルトニアンの固有エネルギー\(E_n\)を導出する。

 ハミルトニアンと数演算子

ハミルトニアンを数演算子で表す

調和振動子のハミルトニアンを数演算子を使って表してみる。

\begin{eqnarray} \hat{N}&=&\hat{a}^†\hat{a}\\&=&\frac{mω}{2ħ} \left( \hat{x}-\frac{i\hat{p}}{mω} \right)\left( \hat{x}+\frac{i\hat{p}}{mω} \right)\\&=&\frac{mω}{2ħ}\left( \hat{x}^2+\left( \frac{\hat{p}}{mω} \right)^2 +\frac{i}{mω}(\hat{x}\hat{p}-\hat{p}\hat{x}) \right)\\&=&\frac{1}{ħω}\frac{mω^2}{2}\left( \hat{x}^2+\left( \frac{\hat{p}}{mω} \right)^2 +\frac{i}{mω}(\hat{x}\hat{p}-\hat{p}\hat{x}) \right) \\&=&\frac{1}{ħω}\left( \frac{1}{2}mω^2\hat{x}^2+\frac{\hat{p}^2}{2m}+i\frac{ω}{2}[\hat{x},\hat{p}] \right)\\&=&\frac{1}{ħω}\left( \hat{H}-\frac{1}{2}ħω \right)  \end{eqnarray}

式の途中で\([\hat{x},\hat{p}]=iħ\)を使っている。この式自体は演算子を代入すれば簡単に求められる。また、式中の\(\frac{1}{2}mω^2\hat{x}^2\)は調和振動子のポテンシャルエネルギー、\(\frac{\hat{p}^2}{2m}\)は粒子の運動エネルギーであった。

参考:調和振動子のエネルギーとハミルトニアン

この式を\(\hat{H}\)について解けばよい。

\begin{eqnarray} \hat{H}&=&ħω \left( \hat{a}^†\hat{a}+\frac{1}{2} \right)\\&=&ħω \left( \hat{N}+\frac{1}{2} \right) \end{eqnarray}

以上で、ハミルトニアンを数演算子で表せた。

ハミルトニアンの固有エネルギー

数演算子\(\hat{N}\)の固有状態を\(|n>\)、固有値を\(n\)とする。

$$\hat{N}|n>=n|n>$$

参考:ブラベクトル・ケットベクトルの意味とは

この式を加工すると、次の式が得られる。

$$ħω \left( \hat{N}+\frac{1}{2} \right)|n>=ħω \left( n+\frac{1}{2} \right)|n>$$

\(\hat{H}=ħω \left( \hat{N}+\frac{1}{2} \right)\)を代入する。

$$\hat{H}|n>=ħω \left( n+\frac{1}{2} \right)|n>$$

この式から、調和振動子のハミルトニアンの固有エネルギー\(E_n\)が求まる。

$$E_n=ħω \left( n+\frac{1}{2} \right)$$

追記(2018/02/05)

よく使われるブラケットベクトルと消滅演算子・生成演算子の関係と、それらの導出をまとめた記事も作成したので、そちらもぜひご覧ください。

参考:ブラケットベクトルと消滅演算子・生成演算子の関係まとめ

参考文献

・猪木慶治・川合光(1994)『量子力学I』,講談社.

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