E=mc^2の意味とその導出

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[mathjax]

$$E=mc^2$$

この式は、アインシュタインによって導かれた式として非常に有名である。Eはエネルギー、mは質量、cは光速度である。つまり、この式はエネルギーと質量の等価式だといえる。

この記事では、この式の導出と意味について考察する。

ローレンツ変換

ローレンツ変換とは、異なる速度で動く座標系間における時刻と座標の関係のことである。系S(O-x,y,z)と、この系Sにに対してx軸方向に速度vで平行移動している系S'(O’-x’y’z’)の時刻をそれぞれt,t’とおくと、ローレンツ変換は次のようになる。

\begin{cases} t’=γ\left(t-\frac{v}{c^2}x \right)\\x’=γ(x-Vt)\\y’=y\\z’=z \end{cases}
$$γ≡\frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}=\frac{1}{\sqrt{1-β^2}}$$

$$β≡\frac{v}{c}$$

これ以降βやγを頻繁に使って最初の式を証明する。

参考:ローレンツ変換の意味

相対論的運動量・質量の導出

ここでは、静止系Sとそれに対してx軸方向に速度\(v\)で移動する物体について考えている。この物体には時計が取り付けられているため、静止系Sからみた物体の時刻もわかるようになっている。また、物体が静止しているときの質量(静止質量)は\(m_0\)であるとする。

物体の時計を基準とした物体の速度

静止系Sから見たときの、静止系の時間\(t\)と運動系の時間\(t’\)の間には次の関係が成り立つ。

$$t’=t\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}$$

参考:ローレンツ変換の意味

そのため、この物体が静止系上の距離\(L_0\)を進むのにかかる時間\(Δt\)を、静止系から物体にくっついている時計で測定すると、\(L_0/v\)の\(\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\)倍となる。

$$Δt=\frac{L_0}{v}\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}$$

以上より、静止系Sから観察したときの、物体の時計を基準とした物体の速度\(v’\)は次のようになる。

\begin{eqnarray}v’&=&\frac{物体が進んだ静止系S上の距離}{静止系Sからみた物体の時間}\\&=&\frac{L_0}{Δt}\\&=&\frac{1}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}v\end{eqnarray}

この速度\(v’\)を使って、物体の時計を基準とした運動量\(p’\)を求める。

\begin{eqnarray}p’&=&m_0v’\\&=&\frac{m_0}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}v\end{eqnarray}

この運動量p’は、相対論的運動量と呼ばれる。相対論で運動量保存則を成立させるには、この相対論的運動量を使う必要がある。

また、もしここで物体の質量を次のように再定義すれば、この相対論的運動量をp’=mvというなじんだ形で表せるのではないだろうか。

$$m≡\frac{m_0}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}$$

このように、静止質量\(m_0\)を使って再定義した質量\(m\)のことを、相対論的質量という。速度\(v\)で動いている静止質量\(m_0\)の物体を静止系から観察した場合、その物体は質量\(m\)であるかのように見える。

この相対論的質量の式によると、もし物体の速度\(v\)が光速\(c\)に近づいていくと、その物体の質量は無限大に発散していくようにみえることになる。このことからも、光速やそれを超えるようなロケットが不自然であることがわかるだろう。

\(E^2=m_0^2c^4+p^2c^2\)の導出

上で求めた相対論的運動量の式

\begin{eqnarray}p&=&\frac{m_0}{\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}}v\\&=&\frac{m_0}{\sqrt{1-β^2}}v\end{eqnarray}

の両辺を2乗して、さらに両辺に\(c^2\)をかける。

\begin{eqnarray}p^2c^2&=&\frac{m_0^2}{1-β^2}v^2c^2\\&=&\frac{m_0^2}{1-β^2}\frac{v^2}{c^2}c^4\\&=&m_0^2c^4\frac{β^2}{1-β^2}\\&=&m_0^2c^4\left(\frac{1}{1-β^2}-\frac{1-β^2}{1-β^2}\right)\\&=&m_0^2c^4(γ^2-1)\\&=&m_0^2γ^2c^4-m_0^2c^4\end{eqnarray}

\(m_0^2c^4\)を移項させる。

$$m_0^2γ^2c^4=m_0^2c^4+p^2c^2$$

この式の左辺を変形させる。

\begin{eqnarray}m_0^2γ^2c^4&=&\frac{m_0^2}{1-β^2}c^4\\&=&m^2c^4\end{eqnarray}

\(m\)は、静止系Sから見たときの粒子の相対論的質量である。つまり\(mc^2\)は、静止系からみた粒子のエネルギーといえる。事実、質量\(m\)の次元は\(M\)、光速度\(c\)の次元は\(L・T^{-1}\)であるため、\(mc^2\)の次元は\(M・L^2・T^{-2}\)となる。これはエネルギーの次元である(古典力学の運動エネルギーが\(\frac{1}{2}mv^2\)で表されることを思い出せば納得しやすいだろう)。そしてそのエネルギーを\(E\)とおくと、次の式を満たす。

$$E^2=m_0^2c^4+p^2c^2$$

\(E^2=m_0^2c^4+p^2c^2\)の意味

上の式の右辺の第二項\(p^2c^2\)は、運動エネルギーを表している。相対論的運動量pをvの関数としてマクローリン展開した後に、物体の速度vは光速cよりもはるかに遅いという極限を導入すると、古典力学でよく見た運動エネルギー\(\frac{1}{2}m_0v^2\)が現れる。

$$E=m_0c^2+\frac{m_0v^2}{2}$$

また、粒子が停止している(v=0)とき、上の式は次のようになる。

$$E=m_0c^2$$

この式によると、粒子は停止しているときでもエネルギーを持つようだ。このエネルギーのことを静止エネルギーとよぶ。質量そのものがもつエネルギーともいえるだろう。一応注意しておくと、静止エネルギーは位置エネルギーとは全く異なるものである。

この式は、エネルギーと質量が等価であることを意味している。つまり、質量をもつ物質を消滅させることで莫大なエネルギーを得ることができるし、その逆で莫大なエネルギーがあれば質量をもつ粒子を生成することもできる。

対消滅について

対消滅とは、物体の質量を減らすことで、E=mc^2に対応するエネルギーが放出される現象のことである。そもそも光速c自体が

$$c≒3.0×10^8[m/s]$$

と大きい値なのに、それの2乗が式に組み込まれているのである。このことからも、小さい質量で莫大なエネルギーを得られることが何となくわかるだろう。具体的には、0.7gで原発1つ分のエネルギーという表現が例えとしてよく言われる。

質量を消す方法として、粒子と反粒子をぶつける方法が挙げられる。質量がそれぞれmの粒子と反粒子がぶつかると、それらの粒子が消滅し、そのかわりに合計2mc^2のエネルギーが残されることになる。

反粒子について

反粒子とは、質量が同じで電荷の符号が逆であるような粒子である。例えば、電子の反粒子は陽電子であり、陽子の反粒子は反陽子である(質量が違うため、電子の反粒子は陽子とはならない)。ただし、宇宙誕生直後の対消滅の過程で反粒子はほとんど消滅してしまったため、現在では天然の反粒子はほとんど存在しない。

対生成について

対生成とは、莫大なエネルギーを使うことで、質量のある粒子と反粒子を作り出すことである。ただし、質量mの粒子と反粒子をつくるために一点に2mc^2という莫大なエネルギーを集中させる必要があるため、簡単にはできない。

実際に対生成を人工的に起こすには、真空中の一点に加速器を使ってエネルギーを集中させる。

まとめ

・運動量保存則を相対論でも成立させるようにするには、相対論的運動量を考える必要がある。

・光速に近い速度で動く物体の相対論的質量は、静止質量よりも大きい。

・E=mc^2を導出した。

参考文献

・阿部龍蔵(2005)『新物理学ライブラリ8 現代物理入門』,サイエンス社.

・原康夫(1998)『裳華房テキストシリーズ-物理学 現代物理学』,裳華房.

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