大学物理のおすすめ参考書集

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大学では、高校までとは違って決まった教科書が無い。ときどき教授から教科書として市販の本を提示されることがあるが、その多くは難解である。

この記事では、大学物理を学習したての人が読むべきおすすめの参考書や読み物を紹介する。

理解に役立つシリーズ

マセマシリーズ

大学物理で最もわかりやすい参考書として、おそらくマセマシリーズを超えるものはないだろう。このシリーズの特徴はとにかく丁寧であることだ。途中式はどんなに簡単な変形でも逐一書いてあり、さらに何の定理を使ったかまできちんと書かれている。章末の公式集も演習問題を解いているときに非常に役に立つ。

紙面も黒色と赤色の2色が使われていて見やすい。高校までの参考書では当たり前のように2色以上の色が使われてるものが多かったはずだ。ところが大学の参考書は黒1色の印刷がほとんどであり、管理人はこれに慣れるまでそこそこ時間がかかった。だから、黒1色の参考書に慣れるまでマセマに頼る、というのもありだろう。

欠点としては、マセマの内容は単元の初歩止まりであることだ。授業で例えると半期分程度しかない。確かにフーリエ解析や複素解析などの、物理学科では半期、長くても1年程度で終わるような単元ならばマセマだけで完結することもあるかもしれない。ところが、物理学科で長期間理解を深める量子力学などでは、進学するたびにマセマにはないことを学ばなければならなくなっていく。つまり、上級になるほどマセマでは授業の範囲をカバーできなくなっていくのだ。したがって、初級からマセマに頼りっぱなしだと、進学後に痛い目をみるかもしれない。

よくわかるシリーズ

「上級の内容をカバーしていて、かつ一番マセマに近い本は?」と質問されたら、管理人はこのシリーズを推す。正式なシリーズ名がわからないため、便宜上ここではよくわかるシリーズと呼ぶことにする。

このシリーズは、中級・上級向けの内容が含まれている本にしては珍しく、図が絵が多い構成となっている。そのため、比較的読みすすめやすい部類に入るだろう。ペラペラめくっているだけでも図が多く目に飛び込んでくる。

さらに、数式の変形が非常に丁寧でわかりやすい。序文によると、このシリーズを書かれた先生は、自身の学生から意見を取り入れて、学生にとってどの計算がわかりにくいかを考えながらこの本を書かれたそうだ。そのため、数学が壁となって物理を理解できない人にもおすすめできる。問題演習の設問ごとにヒントと解答が別のページに書かれているため、自力で考えながらの演習もしやすい。

ただし、量子力学の本の古い版ではやや間違いも多い。そのため、もし図書室に置いてある本の版が古いものならば、サポートページを見ながら勉強する必要があるだろう。

それでも、ここまで丁寧な上級本は他には見当たらないため、それだけでも大きな価値のある本だと思う。

演習に役立つシリーズ

講談社基礎物理学シリーズ

このシリーズは、おそらく管理人が大学の演習で最も役に立ったものだろう。このシリーズは前の2つのシリーズと比べると図が少なく、読み進めるのが難しく感じるかもしれない。それでも慣れれば十分おすすめできる本である。

このシリーズは量子力学で特にお世話になった。量子力学は学部レベルでも膨大なため、無理やり1冊にまとめると、どうしても触れきれない部分もでてくる。このシリーズでは量子力学のみ2冊に分けることで、摂動やWKB近似などの、より上級な内容を盛り込むことに成功している。

ちなみに、物理メモの執筆にもこのシリーズは非常に役立っている。サイト検索でこのシリーズ名を検索すると、参考文献にこの本が書かれた記事が多くヒットする。これも、初級から上級まで幅広い内容が盛り込まれているからこそである。物理メモはまだ内容が充実しているとはいえないため、これからもお世話になるだろう。

なるほどシリーズ

シリーズの正式名称がわからないため、ここでは便宜上なるほどシリーズと呼ぶことにする。

このシリーズの量子力学の本は、全部で3冊に分かれている。量子力学の第3巻は、他のシリーズと比べて、特にスピンに関する記述が充実している。もし大学の授業や演習で、上のシリーズに載っていない問題が出てきたら、この本を図書館で借りてくるとうまくいくかもしれない。

おまけ 物理の読み物

高校数学でわかるシリーズ

まずはじめに、このシリーズはブルーバックスで、参考書というよりも読み物に近い。そのため、問題演習が目的で購入する本ではない。

ただし、物理のそれぞれのテーマの外観をつかむには十分な内容となっている。シリーズ名からもわかるように、この本は高校で理系を選択した人ならば理解できるように書いてある。特にこのシリーズは、物理が発展する過程を重視して書かれている。普通の参考書でもコラムなどとして多少は発展の歴史みたいなものが書いてあることも多いが、このシリーズには及ばない。それも、このシリーズがあくまで物理の読み物として位置づけられているからであろう。

大学でわざわざ物理学科を選択した人ならば、長期休暇中に読めばはまること間違いない。物理学科の学生でなくても、なんとなく物理に多少興味があるだけの大学生や、物理学科に興味がある高校生でも十分楽しめる内容だろう。

まとめ

結局のところ、最適な参考書は、自分がどのような知識を得たいかで決まってくる。ここで挙げた本で例えると、初歩的な演習でつまづいているならばマセマシリーズやよくわかるシリーズ、上級な内容でつまづいているならば講談社基礎物理学シリーズやなるほどシリーズ、難しい数学は抜きにしてテーマの概略をつかみたいならば高校数学でわかるシリーズといった具合だ。

また、より客観的な視点で物理に向き合うために、できるだけ多くの本やホームページを読んでおくことをおすすめする。あらかじめここに挙げたような簡単めな本を読み込んでおけば、他の難しくて高級な本も少しは読みやすくなっていることだろう。ここに挙げたシリーズはどこの大学図書館にもあると思われるので、学生ならば一度は本を開いてみることをおすすめする。

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