世界間隔の共変性と固有時について

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世界間隔Δsとは、ミンコフスキー空間内の2点間の距離のことである。式で表すと次のようになる。

$$(Δs)^2=-c^2(t_1-t_2)^2+({\bf r}_1-{\bf r}_2)^2$$

この世界間隔は、ローレンツ変換に対して不変である。このことはつまり、世界間隔は慣性系によらず一定であることを意味する。このように、ローレンツ変換を施しても値が変わらない性質のことを、ローレンツ変換に対して共変的であるという。

また、\(ds\)を次のように定義する。

$$ds^2≡dx^2+dy^2+dz^2-c^2dt^2$$

\(dx=v_xdt\)に注意して、\(v=\sqrt{v_x^2+v_y^2+v_z^2}\)とおくと、

$$\sqrt{-ds^2}=\sqrt{c^2-v^2}dt$$

固有時\(dτ\)を次のように定義すると、次のように変形できる。

$$dτ≡\frac{\sqrt{-ds^2}}{c}=\sqrt{1-\left( \frac{v}{c} \right)^2 }dt$$

この固有時もローレンツ変換に対して不変である。

参考:ミンコフスキー空間について



世界間隔がローレンツ変換で不変であることの証明

まず世界間隔の式を展開する。

参考:ローレンツ変換の意味

\begin{eqnarray} (Δs)^2&=&-c^2(t_1-t_2)^2+({\bf r}_1-{\bf r}_2)^2\\&=&-c^2(t_1-t_2)^2+(x_1-x_2)^2+(y_1-y_2)^2+(z_1-z_2)^2\\&=&-c^2(t_1^2-2t_1t_2+t_2^2)+(x_1^2-2x_1x_2+x_2^2)+(y_1^2-2y_1y_2+y_2^2)+(z_1^2-2z_1z_2+z_2^2)\\&=&(-c^2t_1^2+x_1^2+y_1^2+z_1^2)+(-c^2t_2^2+x_2^2+y_2^2+z_2^2)+(2c^2t_1t_2-2x_1x_2-2y_1y_2-2z_1z_2)\end{eqnarray}

世界間隔がローレンツ変換に対して共変的であることを証明するには、\((-c^2t_1^2+x_1^2+y_1^2+z_1^2)\)と\(2c^2t_1t_2-2x_1x_2\)が共変的であることを示せばよい。

\(-c^2t_1^2+x_1^2+y_1^2+z_1^2\)は共変的か

\(-c^2t_1’^2+x_1’^2+y_1’^2+z_1’^2\)にローレンツ変換の式を代入する。運動系がx軸方向に速度Vで動いていると仮定すると、次のような変形が可能である。

\begin{eqnarray} -c^2t_1’^2+x_1’^2+y_1’^2+z_1’^2&=&-c^2γ^2\left(t_1-\frac{V}{c^2}x_1 \right)^2+γ^2(x_1-Vt_1)^2+y_1^2+z_1^2\\&=&γ^2\left(-c^2t_1^2+2c^2\frac{V}{c^2}x_1t_1-c^2\left( \frac{V}{c^2}x_1 \right)^2 +(x_1^2-2Vx_1t_1+V^2t_1^2) \right) +y_1^2+z_1^2\\&=&\frac{1}{1-\frac{V^2}{c^2}}\left(-c^2t_1^2- \frac{V^2}{c^2}x_1^2 +x_1^2+V^2t_1^2 \right) +y_1^2+z_1^2\\&=&\frac{c^2}{c^2-V^2}\left((V^2-c^2)t_1^2+ \left( 1- \frac{V^2}{c^2}\right) x_1^2 \right) +y_1^2+z_1^2\\&=&-c^2t_1^2+ x_1^2+y_1^2+z_1^2  \end{eqnarray}
以上より、ローレンツ変換を施しても式の形は変わっていないから、この式は共変的である。
同様にして、\(-c^2t_2^2+x_2^2+y_2^2+z_2^2\)も共変的である。

\(2c^2t_1t_2-2x_1x_2\)は共変的か

先ほどと同様に、ローレンツ変換の式を代入すればよい。(Mathjaxの仕様で一部の「’」がずれているので気を付けてください)

\begin{eqnarray} 2c^2t_1’t_2′-2x_1’x_2′ &=&2c^2γ^2\left(t_1-\frac{V}{c^2}x_1 \right) \left(t_2-\frac{V}{c^2}x_2 \right)-2γ^2(x_1-Vt_1)(x_2-Vt_2)\\&=&2c^2γ^2\left(t_1t_2-\frac{V}{c^2}t_1x_2-\frac{V}{c^2}t_2x_1+\left( \frac{V}{c^2}\right)^2x_1x_2  \right)\\&&-2γ^2(x_1x_2-Vx_1t_2-Vx_2t_1+V^2t_1t_2) \\&=&2γ^2\left(c^2t_1t_2+c^2\left( \frac{V}{c^2}\right)^2x_1x_2  -(x_1x_2+V^2t_1t_2)\right)\\&=&2\frac{1}{1-\frac{V^2}{c^2}}\left((c^2-V^2)t_1t_2+\left( \frac{V^2}{c^2}-1 \right)x_1x_2 \right)\\&=&2\frac{c^2}{c^2-V^2}\left((c^2-V^2)t_1t_2+\frac{V^2-c^2}{c^2}x_1x_2 \right)\\&=&2c^2t_1t_2-2x_1x_2  \end{eqnarray}
以上より、ローレンツ変換を施しても式の形は変わっていないから、この式は共変的である。
したがって、世界間隔がローレンツ変換に対して共変的である。これで、世界間隔\((Δs)^2\)がローレンツ変換に対して不変であることが示された。

参考文献

・戸田盛和(1997)『物理学30講シリーズ7 相対性理論30講』,朝倉書店.

・竹内淳(2013)『高校数学でわかる相対性理論』,講談社.

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