【コラム】トンネル効果ってなに?壁をすり抜けるって本当?

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今回のコラムは、量子力学の「トンネル効果」です。

トンネル効果を一言で説明すると、「粒子がポテンシャル(位置エネルギー)を通り抜ける現象のこと」です。量子力学では、電子のようなものすごく小さい素粒子を中心に取り扱います。そのような素粒子は、正確に「この座標ににある!」といった具合に場所を特定することはできません。そのかわりに、「この素粒子がここにある確率は〇〇%!」というように、粒子がある場所を確率で表します。

次のような場合を考えてみましょう。有限なポテンシャルに向かって左側から粒子を飛ばします。このとき、ポテンシャルが十分に薄い場合は、ポテンシャルの左側だけでなく、右側にも粒子の存在確率が0でない場所が存在することがあります。もちろん、ポテンシャルの右側から粒子は飛ばしてません。これらのことを踏まえると、「左側から発射した粒子が、ポテンシャルを通り抜けて右側に存在する確率が0でない」、つまり「粒子がポテンシャルを通り抜けることがある」のです。このことを、粒子がポテンシャルに「しみだしている」といいます。

身近なトンネル効果

ネットを見てみると、たまに「人が壁に突っ込んでもトンネル効果ですり抜けられることがある!」みたいな記事に遭遇することがありますが、こんなことが起こる確率はもはや想像ができないくらい低いでしょう。これは身近とはとても言えそうにないです。では、身近にトンネル効果を起こすものはあるでしょうか?

それは、「ダイオード」です。中学や高校の実験で使った方も多いと思います。正しい方向に電圧をかければ電流を通しますが、逆方向だと電流を流さないというアレです。ところが、逆方向でもかなり大きい電圧をかければ、いずれは電流を流すようになります(この逆方向に電流が流れ始めたときの電圧を閾値電圧といいます)。このとき、電子がトンネル効果を起こすことで、逆方向に電流が流れるようになっているのです(他にも理由はあります)。

以上です。素粒子レベルの大きさでないとほとんどトンネル効果は起こらないため、普段はトンネル効果のことをあまり意識しないと思います。それでも、普段から注意深くいろんなことを観察すれば、もっと多くのトンネル効果の例を挙げられるようになるのかなーと感じます。

参考文献

・A.S.ダビドフ(1978)『量子力学<改訂第二版> I』,北門新作他訳,新科学出版社.

・桜庭一郎・岡本淳(2003)『電子デバイスの基礎』,森北出版株式会社.

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