【コラム】ガラスは固体か液体か?

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今回のコラムのテーマは、「ガラスの状態」についてです。

この記事のタイトルを見て、「はぁ?ガラスとかあんな硬いもの固体に決まってんだろ」と思った人も多いと思います。管理人も大学に入る前は完全にそう思っていました。ところが、実は科学者の間でも意見が分かれるくらいあいまいな問題なのです。その証拠に、このガラスが液体なのか固体なのかという議論には、200年を超える長い歴史があります。

固体とは?液体とは?

まず、固体とは何かを復習しましょう。固体とは、物質を構成する分子(または原子)が規則正しく並んで結合している状態のことをいいます。一方液体とは、分子や原子同士の結合が解消されて、1分子1分子、あるいは1原子1原子がばらばらに動けるようになった状態のことです(ちなみに、分子間力(原子間力)という、粒子の間に働く力を振り切れるくらいのエネルギーを粒子が持つと、気体になります)。固体の例として、氷や食塩(NaCl結晶)、ドライアイス(二酸化炭素)が挙げられます。一方、液体は水、水銀などです。

なぜガラスは液体といわれることがあるのか

ガラスの主成分は「二酸化ケイ素」という分子です。この二酸化ケイ素が規則正しく並んでいる結晶を「石英」といいます。一方のガラスは、二酸化ケイ素分子が不規則に並んでいるような構造をしています。ところが、上に書いた通り固体は分子が規則正しく並んでいるものだから、「ガラスは固体に分類されない」という意見があるのも納得できます。

ガラスを研究している研究者の意見とは

2017年11月1日、東京大学と東北大学は、固有な分子振動のパターンをシミュレーションすることで、ガラスと普通の固体では振動特性が異なることを発表しました。プレスリリースによると、この結果は、分子振動の観点から見れば、ガラスと通常の固体は本質的には別物であることを意味するそうです。ただし、このプレスリリースではガラスを「固体」と明記されているため、この研究をされた方々はあくまでガラスは固体であると考えているようです。

終わりに

以上です。下の参考文献にあるように、専門家の間でも液体派と固体派で分かれるくらい難しい問題ですが、この記事をご覧になっている方はどう思いますか?ちなみに管理人は結局どっちにも分類されないで「ガラス特有な状態」のような言葉で言われ続けるようになると思います。

参考文献

1.「ガラスは液体」と考えている参考文献

会誌編集委員会(日本物理学会)(2016)「ガラスは固体? 液体?」,『日本物理学会誌』71(5), 291-291, 一般社団法人 日本物理学会.

2.「ガラスは固体」と考えている参考文献

・京都大学(2015)「ガラスは本当に固体か? ーコンピュータシミュレーションと情報理論による予測ー」(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/150122_1.html),最終アクセス日2017/11/07.

・東京大学・東北大学(2017),プレスリリース「ガラスと通常の固体の本質的な違いを発見 ーコンピュータシミュレーションによってガラスの特異な振動特性を解明ー」,(https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2017/11/press20171030-01.html),最終アクセス日2017/11/08.

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