デルタ関数と使用例

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[mathjax]

デルタ関数\(δ(x-a)\)とは、カッコの中が\(0\)のときのみ特殊な値になるようなものであり、次のようにして定義される。

$$\int_{-∞}^∞ f(x)δ(x-a)dx=f(a)$$

このデルタ関数は名前に関数とついているが、正確には関数ではない。そのため、このように積分を使って定義される。

デルタ関数について

デルタ関数には、次の2つの性質がある。

1.デルタ関数\(δ(x-a)\)を、\(x\)の値で場合分けすると、次のようになる。

\begin{eqnarray} δ(x-a) = \begin{cases} ∞ & (x=a) \\ 0 & (x≠a) \end{cases} \end{eqnarray}

つまり、デルタ関数をグラフ化すると、次のようになる。

2.デルタ関数を全空間で積分した値は\(1\)になる。

$$\int_{-∞}^∞ δ(x-a)dx=1$$

ただし、\(x=a\)以外の場所ではデルタ関数は0になるため、「\(δ(x-a)\)を、\(x=a\)を含む範囲で積分した値は\(1\)になる」と言い換えることができる。

3.デルタ関数は、偶関数に似た性質を持つ。

$$δ(x)=δ(-x)$$

デルタ関数の用途

電荷密度と電荷

なぜ電荷密度をデルタ関数で表せるのか

位置\({\bf z}\)に電荷\(e\)の電子が存在する。この場合、電荷密度\(ρ({\bf r})\)と電荷\(e\)の関係は、デルタ関数を使って次のように書ける。

$$ρ({\bf r})=eδ^3({\bf r}-{\bf z})$$

位置\({\bf z}\)以外には電荷は全くないため、電荷密度は0である。そして、位置\({\bf z}\)という無限小の空間に電荷\(e\)が存在するため、位置\({\bf z}\)でのみ電荷密度が無限大に発散してしまう。だから、電荷密度をデルタ関数で表せる。

電荷密度を全空間で積分してみる

電荷密度を全空間で積分すると、全空間における電荷の総量が求まるはずだ。今考えている状況では、電荷\(e\)が1つしか存在しないため、積分結果も\(e\)になるはずだ。実際に計算してみる。

\begin{eqnarray} \int ρ({\bf r})d^3r&=&\int eδ^3({\bf r}-{\bf z})d^3r\\&=&e\int δ^3({\bf r}-{\bf z})d^3r\\&=&e・1\\&=&e \end{eqnarray}

これで、計算結果が\(e\)になることが確かめられた。

参考:静電場と静磁場中の電荷の運動方程式

参考文献

・砂川重信(1987)『物理テキストシリーズ4 電磁気学』,岩波書店.

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