ハミルトンの正準方程式

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[mathjax]



正準方程式(ハミルトン方程式)

$$\dot{q}_i=\frac{∂H}{∂p_i}$$
$$\dot{p}_i=-\frac{∂H}{∂q_i}$$

正準方程式とは、上の2つの方程式のことである。この正準方程式の求め方は複数存在し、ハミルトニアンの全微分を使うものや、最小作用の原理を使うものなどがある。この記事では、ハミルトニアンの全微分を使う方法で、これらの正準方程式を導出する。

ハミルトニアンの全微分

ハミルトニアンの定義式の両辺の全微分を考えて、比較する。

ハミルトニアンが含む変数

ハミルトニアンの全微分を考えるには、まずそれがどのような変数を含むのかを確認しなければならない。ハミルトニアン\(H\)は、次のように定義される量であった。

$$\displaystyle H(q,p,t)≡\sum_{i=1}^n p_i\dot{q}_i-L(q,\dot{q},t)$$

この定義式の左辺から、ハミルトン\(H\)は、\((q,p,t)\)の3つの変数のみを含む。したがって\(H\)の全微分\(dH\)は、次のようになる。

$$dH=\frac{∂H}{∂q_i}dq_i+\frac{∂H}{∂p_i}dp_i+\frac{∂H}{∂t}dt・・・(1)$$

ラグランジアンが含む変数

ハミルトニアンの定義式の右辺に注目すると、ラグランジアン\(L\)は\((q,\dot{q},t)\)の3変数を含むことがわかる。これに注目すると、\(H\)の全微分は次のように書くこともできる。

$$dH=\dot{q}_idp_i+p_id\dot{q}_i-\left(\frac{∂L}{∂q_i}dq_i+\frac{∂L}{∂\dot{q}_i}d\dot{q}_i+\frac{∂L}{∂t}dt\right)・・・(2)$$

右辺の第四項について、ポテンシャルエネルギー\(V\)は速度\(\dot{q}\)に依存しないことから、次のように変形できる。

\begin{eqnarray} \frac{∂L}{∂\dot{q}_i}d\dot{q}_i&=&\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}d\dot{q}_i-\frac{∂V}{∂\dot{q}_i}d\dot{q}_i\\&=&p_id\dot{q}_i-0・d\dot{q}_i\\&=&p_id\dot{q}_i・・・(3) \end{eqnarray}

途中で一般化運動量\(p_i\)の定義式を代入した。

また、一般化運動量の時間微分\(\dot{p}_i\)と運動エネルギー\(T\)、一般化力\(Q_i\)の間には次の関係がある。

$$\dot{p}_i-\frac{∂T}{∂q_i}=Q_i$$

参考:ラグランジュ運動方程式の導出

一般化力とポテンシャルエネルギーの関係式を代入すると、

\begin{eqnarray}\dot{p}_i&=&\frac{∂T}{∂q_i}+Q_i\\&=&\frac{∂T}{∂q_i}-\frac{∂V}{∂q_j}\\&=&\frac{∂L}{∂q_j}・・・(4)\end{eqnarray}

式(3)と式(4)を式(2)に代入する。

\begin{eqnarray}dH&=&\dot{q}_idp_i+p_id\dot{q}_i-\left(\frac{∂L}{∂q_i}dq_i+p_id\dot{q}_i+\frac{∂L}{∂t}dt\right)\\&=&\dot{q}_idp_i-\dot{p}_idq_i-\frac{∂L}{∂t}dt・・・(5)\end{eqnarray}

二通りの\(dH\)の比較

式(1)と式(5)で、2通りの\(dH\)を示した。この2式は、\(dp_i,dq_i,dt\)という3つの共通な微小量を含んでいる。この微小量の係数は2つの式で等しくなるから、次の3つの関係式が現れる。

$$\dot{q}_i=\frac{∂H}{∂p_i}$$
$$-\dot{p}_i=\frac{∂H}{∂q_i}$$
$$-\frac{∂L}{∂t}=\frac{∂H}{∂t}$$

この3つの関係式のうち、最初の2つをまとめてハミルトンの正準方程式とよぶ。

最後の1つは、ラグランジアンが直接時刻\(t\)を含む場合でないと0になってしまう。

まとめ

・ハミルトニアンの全微分から、正準方程式を求めた。

参考文献

・Goldstein, Herbert. “Classical Mechanics.” 2nd ed. Reading, Mass: Addison-Wesley Publishing Company, 1980.

(題名を斜体にできないので” “でくくっています)

・戸田盛和(1982)『力学〔物理入門コース1〕』,岩波書店.

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