[mathjax]
仮想仕事の原理
$$\displaystyle \sum_i {\bf F}_i・δ{\bf r}_i=0$$
ダランベールの原理
$$\displaystyle \sum_{ i } ({\bf F}_i-\dot{\bf p}_i)・δ{\bf r}_i=0$$
仮想仕事の原理
仮想変位\(δ{\bf r}_i\)とは、実際の変位から仮想的に無限小だけ動かした変位のことを指す。あくまで仮想的に動かしただけだから、実際に物体が\(δ{\bf r}_i\)だけ動いたわけではない。
今、物体に働く力\({\bf f}_i\)が釣り合っている場合を考える。数式で表すと、
$$\displaystyle \sum_i {\bf f}_i=0$$
仮想変位は無限小だから、物体が釣り合っている場所から仮想変位だけ動いても、物体に働く外力や束縛力は変化しないと考える。したがって、物体が力\({\bf f}_i\)に仮想変位\(δ{\bf r}_i\)だけされた仕事は、これらの内積\({\bf f}_i・δ{\bf r}_i\)で表現される。
上の物体が釣り合っている式より、仕事の和は0になる。
$$\displaystyle \sum_i {\bf f}_i・δ{\bf r}_i=0・・・(1)$$
力\({\bf f}_i\)は、束縛力\({\bf S}_i\)と粒子に働く外力\({\bf F}_i\)に分解される。
$${\bf f}_i={\bf F}_i+{\bf S}_i・・・(2)$$
式(1)に式(2)を代入する。
\begin{eqnarray} \displaystyle 0&=&\sum_i ({\bf F}_i+{\bf S}_i)・δ{\bf r}_i\\&=&\sum_i {\bf F}_i・δ{\bf r}_i+\sum_i {\bf S}_i・δ{\bf r}_i\end{eqnarray}
束縛力による仕事\({\bf S}_i・δ{\bf r}_i\)がすべて打ち消しあって0になると仮定する(このような拘束力を滑らかな束縛力と呼ぶ)。つまり、\(\displaystyle \sum_i {\bf S}_i・δ{\bf r}_i=0\)とすると、
$$\displaystyle \sum_i {\bf F}_i・δ{\bf r}_i=0$$
この式を仮想仕事の原理という。
ダランベールの原理
運動方程式
$$\dot{\bf p}_i={\bf f}_i$$
の左辺を移項する。
$${\bf f}_i-\dot{\bf p}_i=0$$
上の式から、次の式がつくれる。
$$\displaystyle \sum_{ i } ({\bf f}_i-\dot{\bf p}_i)・δ{\bf r}_i=0・・・(3)$$
式(3)に式(2)を代入すると、
$$\displaystyle \sum_{ i } ({\bf F}_i-\dot{\bf p}_i)・δ{\bf r}_i+\sum_{ i } {\bf S}_i・δ{\bf r}_i=0$$
前と同じように、束縛力による仕事\({\bf S}_i・δ{\bf r}_i\)がすべて打ち消しあうと仮定する。
$$\displaystyle \sum_{ i } ({\bf F}_i-\dot{\bf p}_i)・δ{\bf r}_i=0$$
この式をダランベールの原理という。
まとめ
・仮想変位という概念を導入することで、仮想仕事の原理とダランベールの原理を求めた。
参考文献
・Goldstein, Herbert. “Classical Mechanics.” 2nd ed. Reading, Mass: Addison-Wesley Publishing Company, 1980.
(題名を斜体にできないので” “でくくっています)