ラグランジュ運動方程式の導出

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[mathjax]



ラグランジアン\(L\)の定義

$$L≡T-V$$

ラグランジュ方程式

i番目の粒子の位置\(q_i\)と速度\(\dot{q}_i\)を使ったラグランジュ方程式

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂L}{∂\dot{q}_i}\right)-\frac{∂L}{∂q_i}=0$$

この記事ではこれらの式を導出する。

一般化力

直交座標\(x_i\)への変換

あらゆる座標系\(q_1,q_2,\cdots,q_n\)を、なじみのある直交座標\(x_1,x_2,\cdots,x_n\)に変換できれば、物理を考えやすくなる。

$$x_1=x_1(q_1,q_2,\cdots,q_n)$$$$x_2=x_2(q_1,q_2,\cdots,q_n)$$

$$\vdots$$

$$x_n=x_n(q_1,q_2,\cdots,q_n)$$

座標系\(q_1,q_2,\cdots,q_n\)は、極座標や円筒座標など、どんな座標系でもあてはめられることから、一般化座標とよばれる。例えば、極座標系の変数\(r,θ,φ\)をそれぞれ一般化座標\(q_1,q_2,q_3\)に当てはめれば、極座標系を直交座標系\(x,y,z\)に変換できる。

\begin{cases} x(r,θ,φ)=rsinθcosφ\\y(r,θ,φ)=rsinθsinφ\\z(r,θ,φ)=rcosθ \end{cases}

直交座標系における速度\(\dot{x}\)の変数

直交座標系における運動エネルギー\(T\)の表記は、次のようになる。

\begin{eqnarray} \displaystyle T&=&\sum_{i=1}^n \frac{p_i^2}{2m_i}\\&=&\sum_{i=1}^n \frac{1}{2}m_i\dot{x}_i^2 \end{eqnarray}

ここで、合成関数の微分を使って直交座標の時間微分\(\dot{x}\)を一般化座標で表すと、

\begin{eqnarray} \displaystyle \dot{x}_i(q_1,q_2,\cdots,q_n)&=&\frac{dx_i}{dt}\\&=&\frac{∂x_i}{∂q_1}\frac{dq_1}{dt}+\frac{∂x_i}{∂q_2}\frac{dq_2}{dt}+\cdots+\frac{∂x_i}{∂q_n}\frac{dq_n}{dt}\\&=&\sum_{j=1}^n \frac{∂x_i}{∂q_j}\frac{dq_j}{dt}\\&=&\sum_{j=1}^n \frac{∂x_i}{∂q_j}\dot{q_j}・・・(1) \end{eqnarray}

関数\(\dot{x}_i\)について、まず上の式(1)より\(\dot{q}_i\)に依存することがわかる。また、\(\frac{∂x_i(q_1,q_2,\cdots,q_n)}{∂q_j}\)は、\(q_i\)に依存する関数である。つまり、関数\(\dot{x}_i\)は、\(q_i,\dot{q}_i\)のどちらにも依存する。

$$\dot{x}_i=\dot{x}_i(q_1,\cdots,q_n,\dot{q}_1,\cdots,\dot{q}_n)$$

式(1)より、\(\dot{x}_i\)は変数\(\dot{q_j}\)の一次関数とみなせるから、\(\dot{x}_i\)を\(\dot{q_j}\)で微分した場合、その係数\(\frac{∂x_i}{∂q_j}\)だけが残る。

$$\frac{∂\dot{x}_i}{∂\dot{q}_j}=\frac{∂x_i}{∂q_j}・・・(2)$$

一般化座標による仕事\(d’W\)の表記

(仕事)=(力)×(距離)という仕事の定義より、直交座標系上の仕事は次のようになる。

$$d’W=\sum_{i=1}^nF_idx_i・・・(3)$$

直交座標系の微小量\(dx_i\)を、合成関数の微分と一般化座標系の微小量\(dq_i\)を使って表す。

\begin{eqnarray} \displaystyle dx_i&=&\sum_{j=1}^n \frac{∂x_i}{∂q_j}dq_j \end{eqnarray}

上の2式より、仕事\(d’W\)を一般化座標で表すと、

\begin{eqnarray} \displaystyle d’W&=&\sum_{i=1}^nF_idx_i\\&=&\sum_{i=1}^n\sum_{j=1}^n F_i\frac{∂x_i}{∂q_j}dq_j・・・(4) \end{eqnarray}

一般化力の導入

式(3)と式(4)が同じ形式になっていることを確認するには、式(4)の一部分を新しい量\(Q_j\)として定義するのが手っ取り早い。そこで、\(Q_j\)を次のように定義する。

$$Q_j≡\sum_{i=1}^nF_i\frac{∂x_i}{∂q_j}$$

この\(Q_j\)を式(4)に導入する。

$$d’W=\sum_{j=1}^n Q_jdq_j・・・(5)$$

式(5)は、式(3)を一般化座標\(dq_j\)で表したものである。この2つの式を比較すると、式(3)中の力\(F_i\)が、式(5)中の\(Q_j\)に対応していることがわかる。だから、この\(Q_j\)は、一般化座標における力に対応することから、一般化力とよばれる。

一般化力とポテンシャル\(V\)

直交座標系における保存力\(F_i\)は、ポテンシャル\(V(x_1,\cdots,x_n)\)の位置微分にマイナスをつけたもので表せる。

$$F_i=-\frac{∂V}{∂x_i}$$

この式を一般化力の定義式中の\(F_i\)に代入する。

$$Q_j=-\sum_{i=1}^n\frac{∂V}{∂x_i}\frac{∂x_i}{∂q_j}$$

一般化座標\(q_j\)によるポテンシャル\(V(x_1,\cdots,x_n)\)の偏微分を考えると、

$$\displaystyle \frac{∂V}{∂q_j}=\sum_{i=1}^n \frac{∂V}{∂x_i}\frac{∂x_i}{∂q_j}$$

上2式から、次の関係が求まる。

$$Q_j=-\frac{∂V}{∂q_j}・・・(6)$$

一般化運動量

一般化座標における運動量を一般化運動量とよび、運動エネルギー\(T\)を使って次のように定義される。

$$p_i≡\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}$$

この一般化運動量の変形を考える。直交座標系の運動量\(m_j\dot{x}_j\)は、上の定義より、

$$m_j\dot{x}_j=\frac{∂T}{∂\dot{x}_j}・・・(7)$$

だから、一般化運動量\(p_i\)を変形させると、次の関係を得る。

\begin{eqnarray} \displaystyle p_i&=&\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}\\&=&\sum_{j=1}^n \frac{∂T}{∂\dot{x}_j}\frac{∂\dot{x}_j}{∂\dot{q}_i}\\&=&\sum_{j=1}^n m_j\dot{x}_j \frac{∂\dot{x}_j}{∂\dot{q}_i}\\&=&\sum_{j=1}^n m_j\dot{x}_j \frac{∂x_j}{∂q_i} \end{eqnarray}

ただし、最後に式(2)を使って変形した。

運動エネルギー\(T\)と一般化力\(Q_i\)の関係式

一般化運動量の時間微分\(\dot{p_i}\)

一般化運動量の時間微分を考える。途中で直交座標系における運動方程式\(m_j\ddot{x}_j=F_j\)と一般化力\(Q_i\)の定義を代入する。

\begin{eqnarray}\displaystyle \dot{p_i}&=&\sum_{j=1}^n \left(\frac{d}{dt}(m_j\dot{x}_j) \right)\frac{∂x_j}{∂q_i}+\sum_{j=1}^n(m_j\dot{x}_j)\left(\frac{d}{dt}\frac{∂x_j}{∂q_i} \right)\\&=&\sum_{j=1}^n (m_j\ddot{x}_j) \frac{∂x_j}{∂q_i}+\sum_{j=1}^n(m_j\dot{x}_j)\left(\frac{d}{dt}\frac{∂x_j}{∂q_i} \right)\\&=&\sum_{j=1}^n F_j\frac{∂x_j}{∂q_i}+\sum_{j=1}^n(m_j\dot{x}_j)\left(\frac{d}{dt}\frac{∂x_j}{∂q_i} \right)\\&=&Q_i+\sum_{j=1}^n(m_j\dot{x}_j)\left(\frac{d}{dt}\frac{∂x_j}{∂q_i} \right)・・・(8) \end{eqnarray}

一般化運動量の位置微分

次に、一般化座標における運動エネルギーの位置微分を考える。

$$ \displaystyle \frac{∂T}{∂q_i}=\sum_{j=1}^n \frac{∂T}{∂\dot{x}_j}\frac{∂\dot{x}_j}{∂q_i}・・・(9)$$

式(9)に式(7)を代入する。

$$\displaystyle \frac{∂T}{∂q_i}=\sum_{j=1}^n m_j\dot{x}_j\frac{∂\dot{x}_j}{∂q_i}・・・(10)$$

\(\frac{∂\dot{x}_j}{∂q_i}\)について

式(10)に式(1)を導入しやすくするために、式(1)の添え字を替える。

$$\displaystyle \dot{x}_j=\sum_{k=1}^n \frac{∂x_j}{∂q_k}\dot{q_k}$$

この式の両辺を\(q_i\)で偏微分する。

\begin{eqnarray} \displaystyle \frac{∂\dot{x}_j}{∂q_i}&=&\sum_{k=1}^n \frac{∂}{∂q_i}\left(\frac{∂x_j}{∂q_k}\right)\dot{q_k}\\&=&\sum_{k=1}^n \frac{∂}{∂q_k}\left(\frac{∂x_j}{∂q_i}\right)\frac{dq_k}{dt}\\&=&\frac{d}{dt}\left(\frac{∂x_j}{∂q_i}\right) \end{eqnarray}

これを式(10)に代入する。

$$\displaystyle \frac{∂T}{∂q_i}=\sum_{j=1}^n m_j\dot{x}_j\frac{d}{dt}\left(\frac{∂x_j}{∂q_i}\right)・・・(11)$$

式(8)に式(11)を代入する。

$$\dot{p}_i=Q_i+\frac{∂T}{∂q_i}$$

一般化運動量の定義を代入する。

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}\right)-\frac{∂T}{∂q_i}=Q_i・・・(12)$$
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ラグランジアンとラグランジュの運動方程式の導出

式(12)に式(6)を代入する。

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}\right)-\frac{∂T}{∂q_i}+\frac{∂V}{∂q_i}=0・・・(13)$$

ポテンシャル\(V(q_1,\cdots,q_n)\)は、速度\(\dot{q}_i\)を含まないから、

$$\frac{∂V}{∂\dot{q}_i}=0$$

この式を式(13)に挿入する。

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}\right)+\frac{∂V}{∂\dot{q}_i}-\frac{∂T}{∂q_i}+\frac{∂V}{∂q_i}=0$$

\(0\)を時間\(t\)で微分しても\(0\)だから、

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂T}{∂\dot{q}_i}-\frac{∂V}{∂\dot{q}_i}\right)-\frac{∂T}{∂q_i}+\frac{∂V}{∂q_i}=0$$

これを少し整理してみる。

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂}{∂\dot{q}_i}(T-V)\right)-\frac{∂}{∂q_i}(T-V)=0・・・(14)$$

ここで、\((T-V)\)を一つの文字で表現してしまえば、式(14)をすっきりさせられる。この\((T-V)\)は通常\(L\)で表現され、ラグランジアンとよばれる。

$$L≡T-V$$

あとはこのラグランジアンを式(14)に代入すれば、求めたいラグランジュの運動方程式が導出される。

$$\frac{d}{dt}\left(\frac{∂L}{∂\dot{q}_i}\right)-\frac{∂L}{∂q_i}=0$$

まとめ

・直交座標系を一般座標系に変換することからスタートして、あらゆる座標系において考えられる一般化力や一般化運動量を定義した。

・ラグランジアンを定義することで、ラグランジュの運動方程式を導出した。

参考文献

・小出昭一郎(1983)『解析力学』,岩波書店.

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