量子力学

数演算子とハミルトニアンの固有エネルギーの導出

消滅演算子\(\hat{a}\)と生成演算子\(\hat{a}^†\)、個数演算子\(\hat{N}\)は、次のように定義される。

$$\hat{a}=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}+\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$$$\hat{a}^†=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}-\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$

$$\hat{N}=\hat{a}^†\hat{a}$$

この記事では、調和振動子のハミルトニアンを数演算子\(\hat{N}\)を使って表し、さらにそのハミルトニアンの固有エネルギー\(E_n\)を導出する。

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量子力学における期待値の求め方

量子力学における粒子の位置や運動量といった物理量は、確率分布を使って表現される。例えば、状態\(ψ\)の確率密度は\(ρ=ψ^*ψ=|ψ|^2\)である。

状態\(ψ\)における任意の物理量\(f({\bf r})\)の期待値\(<f>\)は、

\begin{eqnarray} <f(\bf r)>&=&\int f({\bf r})ρ(t,{\bf r}) d^3r\\&=&\int ψ^*(t,{\bf r})f({\bf r})ψ(t,{\bf r}) d^3r \end{eqnarray}

そのため、物理量\(O\)の期待値をブラケットベクトル\(<ψ|, \ |ψ>\)を使って書くと次のようになる。

$$\bar{O}=<ψ|\hat{O}|ψ>$$

参考:ブラベクトル・ケットベクトルの意味とは

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シュレディンガー方程式と運動量演算子の求め方

シュレディンガー方程式とは次の式のことを指す。

$$iħ\frac{∂}{∂t}Ψ({\bf r},t)=-\frac{ħ^2}{2m}∇^2Ψ({\bf r},t)$$

ハミルトニアンを使うと、

$$iħ\frac{∂}{∂t}Ψ({\bf r},t)=\hat{H}Ψ({\bf r},t)$$

この記事では上の式を導出後、運動量演算子を求める。

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ブラベクトル・ケットベクトルの意味とは

量子力学には、「ブラベクトル」と「ケットベクト」というものを使う。ブラベクトルは\(<a|\)、ケットベクトルは\(|a>\)と表される。これらは参考書などをみると波動関数のように使われているのを確認できるが、これらを導入することでどのようなメリットがあるのだろうか。

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ド・ブロイ波の例題集

量子力学では、あらゆる物体は粒子と波の両方の性質を併せ持っていると考える。それならば、粒子の性質と波の性質をリンクするための決まりがあるはずである。ド・ブロイは、光と同じように、陽子や電子などの質量をもつ粒子すらも波と考えることができるのではないかと考えて、次のような関係式を提案した。

$$λ=\frac{h}{p}$$

\(h\)はプランク定数、\(p\)は粒子の運動量である。そして、その粒子は波長\(λ\)の波と同じ性質を持つ。この波長\(λ\)をド・ブロイ波長と呼ぶ。

参考:原子の構造―電子軌道と原子核について

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シュレディンガー方程式を解く意味とは

シュレディンガー方程式

$$\left[ -\frac{ħ^2}{2m}∇^2 +V({\bf r}) \right]Ψ({\bf r},t)=iħ\frac{∂}{∂t}Ψ({\bf r},t)$$

波動関数\(ψ({\bf r})\)が時刻\(t\)に依存しないとすると、方程式は次の形になる。

$$\left[ -\frac{ħ^2}{2m}∇^2 +V({\bf r}) \right]ψ({\bf r})=Eψ({\bf r})$$

\(ħ=h/2π\):ディラック定数 \(m\):粒子の質量

\(V\):ポテンシャルエネルギー \(E\):粒子がもつ力学的エネルギー

また、\(\left[ -\frac{ħ^2}{2m}∇^2 +V({\bf r}) \right]\)を演算子\(\hat{H}\)とおくと、つぎのように簡単にかける。

$$\hat{H}ψ=Eψ$$
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量子コンピュータって何?普通のものと何が違うのか

今回のコラムのテーマは、「量子コンピュータ」です。

2017年11月20日、NTTが一般向けの国産の量子コンピュータを使ったシステムを発表しました。最近よく量子コンピュータという単語を耳にしますが、これは普通のコンピュータとは何が違うのでしょうか?この記事では、量子コンピュータと従来のコンピュータの違いや、量子コンピュータに使われる量子ドットについて、簡単に触れていきたいと思います。

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【コラム】トンネル効果ってなに?壁をすり抜けるって本当?

今回のコラムは、量子力学の「トンネル効果」です。

トンネル効果を一言で説明すると、「粒子がポテンシャル(位置エネルギー)を通り抜ける現象のこと」です。量子力学では、電子のようなものすごく小さい素粒子を中心に取り扱います。そのような素粒子は、正確に「この座標ににある!」といった具合に場所を特定することはできません。そのかわりに、「この素粒子がここにある確率は〇〇%!」というように、粒子がある場所を確率で表します。

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