平面波と等位相面とは―波動方程式からsin波を導出する

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[mathjax]

上の図では、同形の青い波が、奥にも複数存在する様子を表している。このような波では等位相面は平面になるため、図中の青い波は平面波と呼ばれる。

等位相面とは、同じ位相の場所を通り、かつ波の進行方向に対して垂直になるような面のことである。上の図では、波の頂上を通るような等位相面を赤い平面で表している。

この記事では、波動方程式から平面波を導出する。

次元ごとの平面波の式

一次元の平面波の式

ψ(x,t)=Acos(kxωt)

A:振幅 k:波数(単位長さあたりの波の数) ω:角振動数

三次元の平面波の式

ψ(r,t)=Acos(krωt)

k:波数ベクトル(波の進行方向を向く)

この波の式は、波数ベクトルの方向に、一定の間隔で波が現れることを表している。

波動方程式と平面波の数式

波動方程式は、変位をψとすると、次のように書ける。

2ψt2=v2d2ψdx2(1)

参考:波動方程式を弦の振動から導出してみた

この右辺を移項して、因数分解する。

(t+vdx)(tvdx)ψ=0

左辺の2つのカッコ内のどちらかが0ならば、等式が成立する。

(t+vdx)ψ=0(2)
(tvdx)ψ=0(3)

関数ψの変数について、式(2)はψ=f(xvt)、式(3)はψ=g(x+vt)とおけば、それぞれの式を満たす。したがって、波動方程式の一般解はこれらの和で表されるから、一般解ψ(x,t)は次のように書ける。

ψ(x,t)=f(xvt)+g(x+vt)

f(xvt)は速さvでx軸方向に進む波、g(x+vt)は速さvでx軸とは逆方向に進む波を表している。

関数f(xvt)g(x+vt)の例

波動方程式を満たす関数の例として、複素定数ˆAを使った次の式が挙げられる。

ψ(x,t)=ˆAeik(xvt)(4)

この式(4)の右辺は変数(xvt)を含んでいるため、f(xvt)に対応する。式(4)を波動方程式である式(1)に代入すれば、式(4)が波動方程式を満たすことを確認できる。

これに加えて、次の関係を導入する。

ω=±vk

このような角振動数ωと波数kの関係式を、分散関係という。上の式は平面波の分散関係を表している。この角振動数を式(4)に代入する。

ψ(x,t)=ˆAei(kxωt)

後は関数ψ(x,t)の実部をとると、よく見る三角関数を使った波動関数の式が求まる。

ψ(x,t)=Re[ˆA]cos(kxωt)

三次元の平面波の式

式(1)はx軸についての波動方程式であるが、この波動方程式はy軸とz軸でも同様に成り立つ。

すべての軸における波動方程式をまとめると、位置ベクトルrを使った3次元の波動方程式が求まる。

2ψ(r,t)t2=v22ψ(r,t)

この3次元の波動方程式について、x軸の波動方程式と同じように考えると、3次元の波動関数が求まる。

ψ(x,t)=ˆAei(krωt)(5)

ここで、kは波数ベクトルである。

k=(kxkykz)

波数ベクトルの成分kx,ky,kzは、それぞれx軸、y軸、z軸における波数である。

式(5)の波動関数の実部をとると、

ψ(x,t)=Re[ˆA]cos(krωt)

まとめ

・等位相面と平面波の説明をした。

・平面波の波動関数を考えた。

参考文献

・長谷川修司(2009)『講談社基礎物理学シリーズ2 振動・波動』,講談社.

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