光電効果とは

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光電効果には、外部光電効果と内部光電効果と光起電力効果の3種類ある。アインシュタインがノーベル賞を受賞したきっかけとなった現象としても有名でもある。

この記事では、それぞれの光電効果の概要を述べる。

外部光電効果

外部光電効果とは、物体に電磁波を入射させると、その物体から電子が物体外に放出される現象のことである。このとき、既に大きいエネルギーを持っていて物体から出ていきやすい自由電子(熱電子)が、物体の外へ出されるのである。一般的に光電効果というと、この外部光電効果のことを指す。

振動数\(ν_{in}\)の電磁波が持つエネルギー\(E_{in}\)は、プランク定数\(h≒6.63×10^{-34}\)を使って次のように表される。

$$E_{in}=hν_{in}$$

この関係を利用すると、エネルギー\(E_{in}\)をもつ電磁波を入射させたときに放出される電子のエネルギー\(E_{out}\)の式が書ける。

\begin{eqnarray}E_{out}&=&E_{in}-W\\&=&hν_{in}-W\end{eqnarray}

Wは仕事関数である。仕事関数は物体ごとに決まっていて、電子の飛び出しにくさを表す。つまり、仕事関数が大きいほど、物体から電子が飛び出しにくい。

この式のように、飛び出した電子のエネルギーは、物体に入射させた電磁波のエネルギーから仕事関数を引いたものに等しい。したがって、もし入射させた電磁波のエネルギーが仕事関数以下ならば、電子が飛び出すことはない。

電磁波の波長はエネルギーが大きくなるほど短くなるため、このことは「一定の波長以下の電磁波でないと外部光電効果は起こらない」と言い換えられる。そのため、たとえ十分に強い光を当てても、その光の波長が長すぎる(エネルギーが小さすぎる)ならば、外部光電効果は起こらない。

このことを数式を使って説明する。光電効果が起こる条件は、仕事関数よりも入射した電磁波のエネルギーのほうが大きい場合であった。

$$hν_{in} \geq W$$

後はこの両辺をプランク定数hで割るだけでよい。

$$ν_{in} \geq \frac{W}{h}$$

この式から、外部光電効果が起こるには、入射させる周波数が最低でも\(\frac{W}{h}\)はないといけないことがいわかる。ちなみに、最小の周波数\(ν_{in}\)のことを限界周波数とよぶ。

外部光電効果の応用例

上の図は、光電効果を利用して発生させた電子を利用して、回路に電流を流す装置の概略図である。まず、片側の電極に大きいエネルギーを持つ電磁波を入射させることで、電子を飛び出させる。その電子がもう片方の電極に到達することで、装置全体で起電力を発生させる。

内部光電効果(光伝導効果)

内部光電効果とは、半導体や絶縁体に短波長の電磁波を入射させることで、禁制帯や価電子帯中の電子が伝導帯に励起されて、物体の電気伝導率が大きくなる現象のことである。

禁制帯中には通常電子は存在しないが、もしその半導体や絶縁体に不純物が含まれていたらどうだろうか。その場合、不純物のエネルギー準位が、その物体の禁制帯中に存在する場合がでてくる。ここでいう禁制帯中の電子とは、このような不純物のエネルギー準位のことを指す。

光電効果と光センサ

光電効果は、光センサの受光部によく使われる。

例えば外部光電効果を利用する場合は、電極に使う物体の仕事関数によって、センサが対応する波長領域を変えられる。ただし、可視光領域で光電効果を起こすくらい仕事関数が低い物体はほとんど存在しないため、可視光領域のセンサで外部光電効果が使われることは基本的にない。

一方内部光電効果を利用する場合は、電極のエネルギーギャップの大きさや不純物のエネルギー準位の位置を調整することで、センサの波長領域を変えられる。そして、受光部の電極の電気伝導度を測定することで、その波長領域の光がどの程度入射しているのかがわかる。

光起電力効果について

光起電力効果も光電効果の1つである。この効果は、太陽光パネルに使われていることで有名である。太陽光パネルの中にはpn接合が存在する。そして外部からの光によって、pn接合内のホールと電子を分けることで、起電力を作り出す。詳細は太陽光パネルの記事として、後日記事にする予定である。

参考:pn接合とは―ダイオードの仕組み

まとめ

・外部光電効果は、物体に電磁波を入射させることで、電子をその物体から飛び出させる現象のことである。単に光電効果といった場合はこちらを指すことが多い。

・内部光電効果とは、入射させた電磁波によって禁制帯と価電子帯の電子を伝導帯へ励起させることで、物体の電気伝導度を大きくする現象のことである。

参考文献

・阿部龍蔵(2005)『新物理学ライブラリ8 現代物理入門』,サイエンス社.

・原康夫(1998)『裳華房テキストシリーズ-物理学 現代物理学』,裳華房.

・松森徳衛(1981)『電気工学入門演習9 電子工学I』,学献社.

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