レーザの性質と原理

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

[mathjax]

レーザ光は通常の光にはない性質を持ち、様々な実験に使われる。

この記事では、レーザ光の主な性質と、レーザの原理を解説する。

ちなみに、レーザの元の英単語「Laser」の一般的な読み方は「レーザー」だが、工学分野では通常「レーザ」と表記する。この記事でもそれにならってレーザと表記する。



レーザの性質

単色性

単色性とは、単一波長の光を放出できる能力のことである。レーザは単色性に優れており、一般的な光と比べて波長範囲が極めて小さい。どの波長の光を出力するかは、レーザによって決まっている。

蛍光灯などの通常の光は、様々な色の光が混ざり合うことで、全体的に白色に見える。それに対してレーザ光は単一波長であるため、肉眼で色がついているように見える。事実、レーザーポインタも白色ではなく色がついているものが多いだろう。

指向性

指向性とは、光線の周囲への広がりにくさを表すものである。

この指向性は、レーザーポインタを想像すれば理解しやすい。プレゼンテーションで、スクリーンから離れた話者がポインタを使ってもレーザ光が広がらないから、レーザはポインタとして使用できる。

通常の光は周囲に広がりやすいため、光源を直接見ても短時間ならば人体に影響しにくい。ところがレーザ光の場合、光の強さが一点に集中しているため、目に直接入ると非常に危険である。

コヒーレンス

コヒーレンスとは光の干渉しやすさを表すパラメータである。干渉しやすいということは、干渉縞が鮮明になりやすいということである。光の干渉の問題は波の干渉の問題に置き換えられるが、この置き換えは、光を構成する波がちゃんとした正弦波の形をしていることが前提となる

コヒーレンスが悪い光は波長範囲が広く、様々な波長の正弦波の重ね合わせとなっている。そのため、正弦波とは程遠い形をしている。一方コヒーレンスがよいレーザ光は単色性に優れるため、正弦波に近い形をしている。

また、コヒーレンスが悪い光は短い距離を進むだけで正弦波の形が崩れるため、干渉の問題には適さない。一方レーザ光は、比較的長距離伝搬した後でも正弦波の形が壊れにくいため、干渉の問題に適している。そのため、レーザ光のコヒーレンスの優良さは、レーザが様々な干渉計に使われる理由の一つになっている。

レーザの原理

レーザ光の正体

レーザ光は、電子が高いエネルギー準位から低いエネルギー準位へ遷移した時に発生する光が元となっている。光のエネルギーと波長の関係を思い出そう。

$$E=\frac{hc}{λ}$$

Eは光のエネルギー、hはプランク定数、cは光速、λは波長である。励起状態から落ちてくる電子は、この式に従うような波長λの光を放出するのである。

誘導放出とは

実は電子のエネルギー準位間の遷移には、光を吸収することで上のエネルギー準位に遷移する「(自然)吸収」、光を放出することで下のエネルギー準位に遷移する「自然放出」、光によって下のエネルギー準位に遷移する「誘導放出」の3種類存在する。

誘導放出によって、1つの光波は2つの光波に増える。増えた光波が他の励起状態の電子の誘導放出を起こす。そのため、誘導放出は1度起こると連続的に発生し続ける。このようにして、レーザは十分に強いコヒーレントな光を作り出せるのだ。

反転分布とは

連続して誘導放出を発生させるためには、高いエネルギー準位にある電子を、低いエネルギーにある電子よりも多くする必要がある。このような電子の分布のことを反転分布という。

電子は基本的に、できるだけ低いエネルギー準位をとりたがる。そのため、反転分布は人工的に作らない限り不自然なものだ。だから「反転」分布と呼ばれるのである。

反転分布の作り方

基底状態の電子の占有率は非常に大きい。この大きい占有率に逆らって、励起状態の電子の数を基底状態の電子の数よりも大きくするのは厳しい。つまり、基底状態を含む2準位のみで反転分布を作るのは現実的ではないということになる。

そこで、通常は3つか4つのエネルギー準位を利用して反転分布をつくる。効率は4準位レーザのほうが良いが、ここでは簡単のため3準位レーザについて考える。

まずは、基底状態の電子を一番上のエネルギー準位に励起させる(ポンピング)。電子は下の準位に遷移したがるため、一番上の準位から2番目の準位へ遷移する。このようなポンピングを、定常状態になるまで繰り返していく。すると最終的には、2番目の準位をとる電子のほうが、基底状態の電子よりも多くなるような定常状態が得られる。3準位レーザではこのようにして反転分布をつくる。

ハーフミラーを使った光共振器

レーザ媒質を挟んでハーフミラーを向かい合わせる。そして、片側のハーフミラー(上図では右側)から、レーザ媒質のエネルギー準位の差に対応した波長の光を注入する。また、前述した反転分布をつくるために、同じ波長の光をレーザ媒質にも注入して基底状態の電子をポンピングさせる。ハーフミラーの間隔\(L\)は、両ハーフミラーを固定端として振動させられるように、光波の波長\(λ\)の1/2倍の倍数となるように調整する。

$$L=\frac{λ}{2}n \ (n:自然数)$$

前述のとおりに、光波は反転分布が形成されたレーザ媒質中で励起され続ける。ハーフミラー間を波長の1/2の倍数に設定したため、光波はハーフミラー間では減衰しにくい。したがって、光波の振幅は共振器中で大きくなり続けていく。

こうすることで、最初に光波を注入した側とは逆側のハーフミラーから、励起された光が得られる。これが、レーザに使われる光共振器の原理である。

ちなみに、ハーフミラーの反射率が高く、透過率が低くなるにつれて、出力光の波長範囲が狭くなる。つまり、より単色な光を得られるようになる。

まとめ

・レーザ光は、単色性・指向性・コヒーレンスに優れたものである。

・レーザは、反転分布を形成して電子の遷移を促すことで、レーザ光を作る。

・レーザ媒質中で発生したレーザ光は、光共振器によって増幅される。

参考文献

・内田長志・黒地則夫・奥野和雄(1984)『光情報システムのための光デバイス技術入門』,技術評論社.

広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA