内部エネルギー、ヘルムホルツの自由エネルギー、エンタルピー、ギブスの自由エネルギーは、それぞれ次のように定義される。
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内部エネルギー U
U=d′Q−d′W′
ヘルムホルツの自由エネルギーF
等温変化において、内部エネルギーUの中で仕事として取り出せるエネルギー。
F=U−TS
エンタルピーH
エンタルピーは次のように定義され、エネルギーの次元をもつ。U,p,Vのすべてが状態量だから、エンタルピーも状態量である。
H=U+pV
参考:エンタルピーとは
ギブスの自由エネルギーG
エンタルピーHからTSを引いたもの。
G=U+pV−TS
それぞれの全微分
内部エネルギーU
内部エネルギーの全微分dUは、次のような形をしていた。
dU=TdS−pdV･･･(1)
参考:エントロピーの定義とは
ヘルムホルツの自由エネルギーF
上の定義に沿ってdFを考えると、
dF=dU−(SdT+TdS)=TdS−pdV−SdT−TdS=−SdT−pdV･･･(2)
エンタルピーH
dH=dU+(pdV+Vdp)=TdS+Vdp･･･(3)
ギブスの自由エネルギーG
dG=dU+(Vdp+pdV)−(SdT+TdS)=Vdp−SdT･･･(4)
マクスウェルの関係式
マクスウェルの関係式は4つ存在する。
1つ目
内部エネルギーがSとVに依存するとする(U=U(S,V))。これの全微分は、
dU=(∂U∂S)VdS+(∂U∂V)SdV･･･(5)
式(1)と式(5)のdSとdTの係数を比較すると、次の2式が求められる。
T=(∂U∂S)V･･･(6)
−p=(∂U∂V)S･･･(7)
式(6)の両辺をVで微分すると、
(∂T∂V)S=∂∂V[(∂U∂S)V]S
式(7)の両辺をSで微分すると、
−(∂p∂S)V=∂∂S[(∂U∂V)S]V
内部エネルギーUは経路に依存しない状態量だから、微分の順序を入れ替えても同じ結果になる。つまり、
∂∂V[(∂U∂S)V]S=∂∂S[(∂U∂V)S]V
この式から、
(∂T∂V)S=−(∂p∂S)V
他のすべてのマクスウェルの関係式も同様に求められる。
2つ目
1つ目の導出は内部エネルギーからスタートしたが、今度はヘルムホルツの自由エネルギーからスタートする。
F=F(T,V)とすると、これの全微分は、
dF=(∂F∂T)VdT+(∂F∂V)TdV
この式と式(2)を比較すると、
−S=(∂F∂T)V
−p=(∂F∂V)T
一つ目の式の両辺をV、二つ目の式の両辺をTで微分すると、
−(∂S∂V)T=∂∂V[(∂F∂T)V]T
−(∂p∂T)V=∂∂T[(∂F∂V)T]V
この2式を組み合わせて、
(∂S∂V)T=(∂p∂T)V
3つ目
エンタルピーをH=H(S,p)とする。後は前2式と同じようにすればよい。
(∂V∂S)p=(∂T∂p)S
4つ目
ギブスの自由エネルギーをG(T,p)とすると、
(∂S∂p)T=−(∂V∂T)p
まとめ
マクスウェルの関係式4つ
(∂T∂V)S=−(∂p∂S)V
(∂S∂V)T=(∂p∂T)V
(∂V∂S)p=(∂T∂p)S
(∂S∂p)T=−(∂V∂T)p
参考文献
・三宅哲(1994)『熱力学』,裳華房.
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