バンドについて―価電子帯・禁制帯・伝導帯とはなにか

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[mathjax]

固体物理や半導体の分野では、電子のエネルギー準位ごとの性質を考えるためにバンドという考えを導入する。

この記事では、バンドが何を表し、何に役に立つのかを考える。



そもそもバンドとは

電子が持つエネルギーは離散的な値となる。このことはプランクの量子仮説によって明らかとなっている。

参考:なぜE=hνが成立するのか

そのため、原子核のまわりの電子もまた、離散的なエネルギーの値を持つ。このように、物質中の電子がとれるエネルギーの値のことを、その物質のエネルギー準位とよぶ。

そしてバンドとは、離散的なエネルギー準位をまとめたグループのことである。このグループの名前は、バンドに含まれる電子の振る舞いによって決まる。

物質のバンドについて考えるときは、通常3つの領域について考える。エネルギー準位が存在しない空間のことを禁制帯と呼び、それを価電子帯と伝導帯と呼ばれるバンドが挟んでいる。このバンドの幅や形状は、物質ごとに決まっている。

バンド中のエネルギー準位に関する補足

最初の図では大量のエネルギー準位が極めて狭い間隔で並んでいたが、通常原子単体ではこんなにも大量かつ狭い間隔でエネルギー準位は並ばないはずだ。

実はエネルギー準位には、原子が結合するごとに分裂するという特徴がある。例えば、上の図のように2つの原子が結合すれば、エネルギー準位も2つに分裂する。さらに3つ原子が結合すれば、そのエネルギー準位も3つに分裂する。

この理論に従うと、固体とは無数の原子が結合したものだから、エネルギー準位も大量に存在することになる。だから、固体のエネルギー準位は、図のように無数のエネルギー準位が並んでいるように見えるのである。

価電子帯・伝導帯・禁制帯

価電子帯について

電子は基本的にエネルギーが低い準位をとりたがるため、価電子帯には大量の電子が存在する。ただし、あまりにも電子が多すぎるため、価電子帯中の電子は身動きがとれない。そのため、これらの電子は電気伝導に寄与しにくい。

そのかわりに、価電子帯ではホール(正孔)というものが電気伝導に影響を及ぼす。何らかの影響で価電子帯中の電子が伝導帯に移動すると、その電子があったところは相対的に正に帯電することになる。この正に帯電したところを、電子の穴ということでホールと呼ぶ。価電子帯はホールで埋め尽くされているわけではないので、このバンド中ではホールは身動きをとりやすい。だからp型半導体は、ホールを多数キャリアとして電流を通すことができるのだ。

このホールがどのように電気伝導に影響するか、またp型半導体については、詳しくは半導体のページをご覧ください。

参考:pn接合とは―ダイオードの仕組み

伝導帯について

禁制帯の上側(電子にとってエネルギーが大きい側)にあるバンドが伝導帯である。

エネルギーが高い伝導帯は、価電子帯と比べて電子が少なくスカスカなため、電子は身動きが取れやすい。そのため、伝導帯中の電子は電気伝導に影響する。

禁制帯について

禁制帯とは、価電子帯と伝導帯に挟まれている空間のことである。バンドギャップと呼ばれることもある。

禁制帯はエネルギー準位を全く含まないため、電子が存在できない場所となっている。そのため、不純物が無い結晶では、電子は必然的に価電子帯と伝導帯のどちらかに属するエネルギー準位をとることになる。

バンド間の電子のやりとり

価電子帯の電子が伝導帯に励起されるには、最低でも禁制帯を超えられるだけのエネルギーを得る必要がある。逆に伝導帯のエネルギーが価電子帯に落ちてくる場合は、その落ち幅に対応したエネルギーが放出されることになる。これらのエネルギーが光として電子に吸収、または電子から放出される場合、そのエネルギーは

$$E=hν$$

に対応することになる。ここで、Eは光のエネルギー、hはプランク定数、νは光の振動数である。つまり、適切なバンド幅を持つ物質を選べば、任意の波長の光を放出できるということになる。この性質を利用したものが、発光ダイオードやレーザである。

バンドという考えを利用すると、半導体部品の挙動について説明しやすくなる。このホームページでは以前にも、ダイオードで使われるpn接合や、レーザ、トランジスタの仕組みなどを紹介してきた。その記事でも、バンドという考えは不可欠なものとなっている。

参考:pn接合とは―ダイオードの仕組み

参考:レーザの性質と原理

参考:トランジスタの仕組み―バイポーラとユニポーラの違い

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まとめ

・バンドとは、離散的なエネルギー準位をまとめたものである。

・バンド理論には、電子が多すぎて身動きがとれない価電子帯、電子が動きやすくて電気伝導に寄与できる伝導帯、そもそも電子が存在できない禁制帯の3種類の領域が存在する。

・電子が価電子帯と伝導帯を行き来するには、禁制帯を超えられるだけのエネルギーを吸収または放出しなければならない。

参考文献

・Charles Kittel(1998)『キッテル固体物理学入門下』,宇野良清・津屋昇・森田章・山下次郎訳, 丸善株式会社.

・吉野純一(1997)『電子工学の基礎』,コロナ社.

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