格子面とミラー指数の求め方

固体物理の分野で結晶構造を考察するときは通常、結晶を格子とみなして考える。そしてその結晶格子の最小繰り返し単位のことを、単位格子とよぶ。単位格子は、頂点(格子点)・辺・面といった要素で構成されている。そしてそれらは、それぞれ結晶を構成する原子・原子間距離・格子点に囲まれた面(格子面)に対応している。

特に格子面は、結晶によるX線回折を考えるうえで不可欠な要素となっている。X線回折は結晶の同定に役に立つツールであるため、格子面への理解が重要であることは明らかだろう。

この記事では、結晶格子についてと、格子面の名前であるミラー指数について書く。

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新しい元素の作り方

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2016年11月、元素番号113の元素に「ニホニウム」と名付けられることが国際的に認められた。このニホニウムは、日本が命名権を得ることができた最初の元素である。実はこのほかにも年々新しい元素が作り出されていて、2018年現在では118番目のオガネソンまで正式名称が決定されている。

この記事では、どのようにして新しい元素が誕生するのかまとめてみる。

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ボーア半径と水素原子のエネルギー準位の導出

ラザフォードによって原子には正に帯電した原子核が存在していたことが明らかになり、その後原子のモデルとして、原子核の周りを電子が円運動している状態が提唱された。ところが、電子は円運動すると外部に電磁波を放出するため、このモデルでは次第に電子が円運動しながら原子核に近づいていくことになる。これは原子がつぶれることを意味するが、現実的にそれはありえない。

そこで、ボーアは電子を粒子ではなく波として考えて原子モデルを考えた。つまり、原子の周りで定常波をつくるような波を電子としたのだ。このようなモデルで考えた、電子を1個のみ含む水素原子の半径のことをボーア半径という。

さらに、原子核のまわりにある電子のエネルギーが離散的であることも、ボーア半径の導出に使った式を再利用することで簡単に確認できる。

この記事では、ボーア半径と、水素原子のエネルギー準位を具体的に求める。

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レーザの性質と原理

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レーザ光は通常の光にはない性質を持ち、様々な実験に使われる。

この記事では、レーザ光の主な性質と、レーザの原理を解説する。

ちなみに、レーザの元の英単語「Laser」の一般的な読み方は「レーザー」だが、工学分野では通常「レーザ」と表記する。この記事でもそれにならってレーザと表記する。

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pn接合とは―ダイオードの仕組みについて

ダイオードとは、電流を一方向にしか通さないような半導体部品のことである。これにはp型半導体とn型半導体をつないだpn接合というものが使われる。

この記事では、この2種類の半導体の違いを解説した後、pn接合についてバンド図を用いて解説する。さらに、pn接合の応用例としてダイオードの原理を紹介する。

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ホール効果とは

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ホール効果とは、磁場中で導体板に電流を流したときに、その導体板に起電力が発生する現象のことである。

この記事では、ホール効果が起こる理由とホール係数について書く。

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希ガスの性質―なぜヘリウムは絶対零度で固体にならないのか

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絶対零度とは、熱力学における絶対温度Kの最低となる温度のことである。この絶対零度は摂氏-273.15℃である。この温度ではエントロピーとエンタルピーは0となる。

この温度になるとあらゆる物質は凍ると書いてあるものも多いが、実はヘリウムは単純に絶対零度になっただけでは固体にならない。

この記事では、そのようなヘリウムについて考えることで、希ガスの性質について考える。また、ヘリウムには安定した同位体が2種類存在するが、ここでいうヘリウムとは実際により多く存在する質量数4のヘリウムを指す。

参考:エントロピーの定義とは

参考:熱力学第〇法則まとめ

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原子の構造―電子軌道と原子核について

原子の構造を大雑把に説明すると、「原子核の周りに電子が存在しているような粒子」となる。そして原子核は陽子と中性子で成り立ち、元素の種類は陽子の数で決まる。

中学や高校で学習するのはだいたいここまでだが、この記事ではその知識をもとにもう少しだけ厳密に原子の構造を考えてみる。

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超伝導とは―なぜ超伝導体は磁石で浮くのか

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理科の教科書やテレビなどで、超伝導体が磁石の上で浮いている様子を見たことがある人は多いだろう。だが、なぜ浮くことができるのかまで知っている人はそこまで多くないと思われる。

この記事では、なぜ超伝導体が磁石の上に安定して浮くことができるのかを考える。

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トンネル効果で人が壁をすり抜けられる確率

トンネル効果というものを聞いたことがあるだろうか。ざっくり説明すると、物体が通常では通り抜けできない壁を通り抜けてしまう現象のことである。

このトンネル効果は、素粒子のような極めて小さい物体ならよく起こるものだが、通常人間が意識するようなレベルの大きさでは全くといってもいいほど起こらない。

この記事では、実際に人間が壁を通り抜けられる確率を具体的に計算して、それがいかに非現実的であるかを解説する。

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