数演算子とハミルトニアンの固有エネルギーの導出

消滅演算子\(\hat{a}\)と生成演算子\(\hat{a}^†\)、個数演算子\(\hat{N}\)は、次のように定義される。

$$\hat{a}=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}+\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$$$\hat{a}^†=\sqrt{ \frac{mω}{2ħ} }\left( \hat{x}-\frac{i\hat{p}}{mω} \right)$$

$$\hat{N}=\hat{a}^†\hat{a}$$

この記事では、調和振動子のハミルトニアンを数演算子\(\hat{N}\)を使って表し、さらにそのハミルトニアンの固有エネルギー\(E_n\)を導出する。

続きを読む

双子のパラドックスの解き方

前の記事では、静止している系から運動している系の時計を見ると、時刻が遅れて見えることを確認した。

参考:ローレンツ変換の意味

ところが、運動系から見ると静止系は動いて見えるため、運動系からも静止系の時計は遅れて見えるはずである。これでは、互いに相手の時計が遅れて見えることになり、矛盾が生じる。

この問題は、地球にいる双子の弟と光速に近い速度のロケットに乗っている兄が再開したとき、どちらが年上か、という問題に置き換えられる。これを、双子のパラドックスという。この記事では、ミンコフスキー空間を使って双子のパラドクスを解いてみる。

続きを読む

世界間隔の共変性と固有時について

世界間隔Δsとは、ミンコフスキー空間内の2点間の距離のことである。式で表すと次のようになる。

$$(Δs)^2=-c^2(t_1-t_2)^2+({\bf r}_1-{\bf r}_2)^2$$

この世界間隔は、ローレンツ変換に対して不変である。このことはつまり、世界間隔は慣性系によらず一定であることを意味する。このように、ローレンツ変換を施しても値が変わらない性質のことを、ローレンツ変換に対して共変的であるという。

また、\(ds\)を次のように定義する。

$$ds^2≡dx^2+dy^2+dz^2-c^2dt^2$$

\(dx=v_xdt\)に注意して、\(v=\sqrt{v_x^2+v_y^2+v_z^2}\)とおくと、

$$\sqrt{-ds^2}=\sqrt{c^2-v^2}dt$$

固有時\(dτ\)を次のように定義すると、次のように変形できる。

$$dτ≡\frac{\sqrt{-ds^2}}{c}=\sqrt{1-\left( \frac{v}{c} \right)^2 }dt$$

この固有時もローレンツ変換に対して不変である。

参考:ミンコフスキー空間について

続きを読む

ミンコフスキー空間とは

ミンコフスキー空間とは、横軸に場所、縦軸に時間をとり、原点に観測者を置いた空間のことである。ミンコフスキー空間上の直線の傾きは、物体の速度を表す。特に、縦軸を\(ct\)でとっているため、光速の傾きが45度になる。この光速を表す線を母線とする円錐を、光錐と呼ぶ。

続きを読む

量子力学における期待値の求め方

量子力学における粒子の位置や運動量といった物理量は、確率分布を使って表現される。例えば、状態\(ψ\)の確率密度は\(ρ=ψ^*ψ=|ψ|^2\)である。

状態\(ψ\)における任意の物理量\(f({\bf r})\)の期待値\(<f>\)は、

\begin{eqnarray} <f(\bf r)>&=&\int f({\bf r})ρ(t,{\bf r}) d^3r\\&=&\int ψ^*(t,{\bf r})f({\bf r})ψ(t,{\bf r}) d^3r \end{eqnarray}

そのため、物理量\(O\)の期待値をブラケットベクトル\(<ψ|, \ |ψ>\)を使って書くと次のようになる。

$$\bar{O}=<ψ|\hat{O}|ψ>$$

参考:ブラベクトル・ケットベクトルの意味とは

続きを読む

シュレディンガー方程式と運動量演算子の求め方

シュレディンガー方程式とは次の式のことを指す。

$$iħ\frac{∂}{∂t}Ψ({\bf r},t)=-\frac{ħ^2}{2m}∇^2Ψ({\bf r},t)$$

ハミルトニアンを使うと、

$$iħ\frac{∂}{∂t}Ψ({\bf r},t)=\hat{H}Ψ({\bf r},t)$$

この記事では上の式を導出後、運動量演算子を求める。

続きを読む

【超初心者向け】理系のプレゼンテーションの最低限3選

今回のコラムのテーマは「未経験者のためのプレゼンテーション講座」です。

理系大学では実験のたびにレポートやプレゼンをすることになりますが、なんとなくプレゼン資料を作ったり発表したりしていませんか?大学では個々人がきちんとプレゼンができる前提でカリキュラムが進むので、もし入学までにプレゼン経験が無いと、どうしても感覚だけで準備をしがちです。そこで、プレゼン経験が無い方のために、プレゼンをするうえで最低限気を付けなければいけないことをまとめてみました。

続きを読む

ローレンツ収縮とその導出

静止している系から光速近くで動いている物体を観察する。すると、その物体は本来の長さ(物体が停止しているときの長さ)よりも短く見える。この現象のことをローレンツ収縮とよぶ。

物体が停止しているときの棒の長さを\(L_0\)、物体が動いている様子を静止系から見たときの棒の長さを\(L\)とすると、両者の間には次の関係が成り立つ。ただし、運動系S’は、系Sに対してx方向に速度Vの速さで動いていて、かつ棒は系S’と同じように動いているものとする。

\begin{eqnarray} L&=&L_0\sqrt{1-\frac{V^2}{c^2}}\\&=&L_0\sqrt{1-β^2} \end{eqnarray}

続きを読む

ケプラーの法則の概要と証明

ケプラーの法則とは、惑星の運動に関する法則である。この法則を使いこなせるようになれば、惑星の運動を簡単に考えることができる。そして、これについて考えるには2次元の極座標の運動方程式を導入するのが一番手っ取り早い。この記事では、ケプラーの法則の紹介と、その証明を行う。

続きを読む

万有引力と重力ポテンシャル

質量\(m\)の粒子と質量\(M\)の粒子間に働く万有引力は、物体間の距離が\(r\)のとき、次のように表される。

$$f(r)=-G\frac{mM}{r^2}$$

\(G=6.672×10^{-11}[N・m^2/kg^2]\):万有引力定数

続きを読む